高野静子さんのファンは多いに違いない。その淡々とした語り口には蘇峰に対する敬愛だけではなく、彼に手紙を宛てた人々に対するやさしいまなざしも感じられて、読んでいるうちにいつのまにかこちらの神経も静まって来る。4冊の著書があるが、すべて同じスタイルで貫かれている。蘇峰記念館に保存された同時代人の書簡を読み解き、その両者の関係からそれぞれの人物像と時代背景を浮かび上がらせる。『蘇峰への手紙』をまず読んで、刊行は前後するが、今『蘇峰とその時代』を読んでいる。これには続編があり、他に『往復書簡 後藤新平ー徳富蘇峰』がある。結局揃えてしまった。いずれ時間が出来たら蘇峰記念館に行ってみたい。