気まぐれで1枚の写真を買った。『荒野の決闘』のスティル。多分スティルのためのスティルで映画の一場面ではない。ヘンリー・フォンダとキャシー・ダウンズが体を寄せ合いながら腰掛け、互に見つめ合っている、というもの。キャシー・ダウンズはあの「いとしのクレメンタイン」のクレメンタイン。大変美しい。この1本だけでおそらく彼女は映画史に残ることになるが、女優としてのその後のキャリアは決して幸福ではなかったようだ。ラインナップがかなりあやしい。『戦慄!プルトニュウム人間』のヒロインがクレメンタインと同一人物だと気がついたのは比較的最近だが、調べてみるとその他のAIPの低予算映画にも何本か出ている。そのあたりはまだ踏みとどまっていたと言えるかもしれないが、1959年の『月へのミサイル』まで来ると、なぜこんな映画が作られ、なぜ彼女がそれに出演しなければならなかったのか、という驚きに巻き込まれる。彼女は映画史のベスト10に入る映画と、ワースト10に入る映画の両方でヒロインを演じたことになる。
追記:私の家でもキャシー・ダウンズ出演作がざっと4本はあるようだ。そういう観点から見たことはなかったので、今度確認してみたい。