待望の講談社学術文庫版『国是三論』(花立三郎全訳注)がようやく届いた。この小さな本を古書店の棚で見つけたいと思ってかなり探しまわったが、ついに行き当たらなかった。で、ネットで唯一探し当てた本を注文した。
たしかに見覚えはあるが、当然何の本かも分からず見過ごしていた。「沼山対話」と「沼山閑話」も入っているので、なぜか得したような気がする。
小楠関係の本はいろいろ揃えたが、同時に読み進めると誰がどこに書いたことなのか混乱しそうなので、今は源了園の『横井小楠研究』を主に読んでいる。ただ合間に『徳富蘇峰・その文学』(中村青史)を読みはじめた。この本は小楠及び小楠を師と仰ぐ実学党の人たちが蘇峰の思想形成にどのような影響を与えたかに焦点を当てている。時間が過ぎて書かれた『蘇峰自伝』は小楠や実学党に対してかなり距離を置いた醒めた感じの記述になっているが、影響は否定出来ない。(後年の蘇峰には小楠の遺志を受け継いだ熊本の実学党の面々を政治の表舞台から追放する中央権力の動きを追認しているのではないかと思われるところがある。これは蘇峰による小楠理解が浅かったということではないか。しばらく保留する)。源了園氏の本には蘇峰による小楠紹介の功罪についての一文がある。