風邪の方はようやく通り越したが、仕事の密度は(スタッフともども)毎日高まるばかりで、なんだかぎりぎりの攻防が各場面で続いている。今週の月曜日は久々の休みで、午後から池袋でやっているはずの古書展に行ってみたが、ろくに調べもせずに行ったために、ついに見つけられず、やむなくあきらめて急遽高円寺の都丸書店に向かい、安い本を何冊か買って帰って来た。こんなときは多分ネットで検索すればいいのだろうが、私の愛用のINFOBARは相変わらず使い勝手が悪く、めんどうくさくなってしまうのだ。ちなみにこれが電話機だとすれば、電話一つ掛けるのに、こんなに手間のかかる携帯は初めてだった。
最近アンドレ・ジイドをジッドと表記するようになったので叔父さんの経済学者はシャルル・ジッドということになるはずだが、こちらは相変わらずジイドまたはジードと表記されているようだ。大正14年発行の翻訳書『最近経済学説』ではシャール・ヂードと表記されている。これは都丸書店で購入したが、その後ネットで昭和16年刊『住宅経済学』という本を注文した。こちらはシヤルル・ヂードであり、まず戦前の経済学界ではヂードということになっていたようだ。『住宅経済学』の巻尾にはそれまで刊行されたヂードの訳本の紹介と誤訳の指摘が丁寧になされていて大変面白く、この誤訳現象がどうやらマルクス主義の影響によってフーリエやオウエンに対する評価が大変低かったために、彼らに言及する部分の訳文が研究不足もあって、いいかげんになったのではないかというような趣旨のことが書かれていて興味深い。なぜかこの訳本紹介の中に『最近経済学説』は含まれていないのは見落としか、理由あってのことか、不明です。