還暦のお祝いというのは本人はなんとなく居心地が悪いものだ。多分太郎もそうだろうと思って、こちらもしらふはやめて、先に少し飲んでからロックウエルズへ行った。直前まで何を贈るか思いつかず、伊勢佐木の古道具屋で何か意味不明のものを買おうと思って探したら、おかしなアルミのボトルがあって、金を払いながらこれ何に使うの?と聞いたら、スープを入れて持ち歩くんです、とおばさんがいう。なぜスープ限定なのかも分からないが、口のところに三角の注ぎ口があって、蓋はそこまでカヴァーしていない。持って歩いたらそこから中身がこぼれそうな気がする。
しかし意味不明の役割は十分果たしてくれているので、あとは太郎が使い方を考えるだろう。
会場には予想以上に、2005年のトリエンナーレ組が集まっていた。2005年のトリエンナーレは現場は死にそうだったけど、でもおもしろかった。誰もがこれでトリエンナーレは変わると思ったが、あとからそれがただの妄想だと誰もが気がついた。
あんなことは一度しか出来ない。
で、今はそれぞれが違う道を歩んでいる。
太郎君、還暦おめでとう、これからもお互いに高い志を持って生きていきましょう。他のじじいもね。