最近和綴じの本が届く。和綴じと言っても昔の本ではない。ほとんど昭和10年代以降の刊本なのでおそらく別の事情があったからだと思うが、どの本も軽くて文字が大きいので、読む側には大変楽に出来ている。野田剛齋先生の『理気先後説』は大きいが薄い本で、今数えてみたら、白紙の1枚を加えても表紙の間にわずか7枚の紙しかなかった。こんな薄い本を和紙で作る文化が復活するならば歓迎したい。三宅尚斎先生の『為学要説』は序文、あとがきを含めて20枚とちょっと。これは昭和11年の刊行で、昭和13年刊の『理気先後説』に比べてもまだ作りがしっかりしている。今日また本が届いた。3編の文章をおさめて、最初は三宅尚斎先生の『為学要説』、次は大橋訥庵先生『性理鄙説』、そして桜田虎門先生『理気鄙言』。これはそれなりのページ数があった。昭和16年の刊行で、紙の質がかなり落ちてきている。印刷が名古屋の森セルロイド印刷所というところで、これがどのような技術によるのか、まだ調べていない。
ところで『理気先後説』の中にチラシが入っていて、「直方先生全集刊行序」とある。横井小楠先生と同様、佐藤直方先生も当時本を出すのに言い訳が必要だった。『佐藤直方全集』には多くの伏せ字がある。その伏せ字に二通りあった。○○に置き換えているものと、上から墨の線でつぶしたようにしたもの。後者はどうやら文字を印刷した上に後からインクを重ねたらしい。よく見ると微妙に文字が読める。若い人であればもっとはっきり見えるだろう。そういうことです。