『蘇東坡』はまだ終わりません。今『絵画の技法』というところです。
この章が絵画論、また書道論として、どの程度適切なのか私には判断できませんが、李竜眠筆『蘇東坡像』の挿絵があって、なかなか魅力的です。(そういえば、この本は挿絵がとても少ない。上巻に彼自身の竹の絵が一枚のみ、下巻にやはりまたこの一枚のみ。)
蘇東坡は生活に困るような逆境にあっても、また高い地位を与えられて都の生活に引き戻されても、いつも悠々とした態度で意の通じる仲間とともに生きることを楽しむ知恵を持っていました。そして社会の不正に対しては、露骨な言い回しではない、巧妙な風刺を持って応じました。
これは中国の文人の理想的な姿であり、林語堂のあこがれの姿でもあったのでしょう。そして生きている間にも政治的変化に左右されて、その地位や評価が揺れ動いて行く様はまるで、ひところの近代中国の知識人の姿を見るようです。
蘇東坡の境遇もこれからまだまだ変わるようです。