夕方の憂鬱は相変わらずやってくる。仕事が一度止まってしまって、ふと考え込むような気分になり、何も手につかない。ジャズを聞くか、散歩をしてごまかすことが多い。昨日からZAIMの引っ越しを始めた。引っ越しも何となく悲しい。とは言っても、今度MAは私のアパートの下の階に移転します。今よりせまくなるけれど、休みの日の読書とか別部屋があれば気分がいいかも。昨日は一度荷物の上げ下ろしにつき合ったら心臓が苦しくなって、あとはまったく動けなくなり、青年達に任せて休憩しました。なぜかZAIMにあった三島由紀夫の『午後の曳航』をソファーにうずくまって半分ほど読んでしまいました。この小説うまくいっているのかなあ。場面は横浜。二日目の逢瀬は馬車道で、それから裏に回って常盤町の方に来るのですが、要は私のアパートあたりをこの恋人達はうろついているわけです。途中の少年達の動向はコクトーというより、ジイドの小説に出て来る悪ガキ集団によく似ている。
これよりはずっとおもしろかったのは川端康成『浅草紅団』。私は川端康成の小説は『伊豆の踊り子』以外読んだことがありませんでした。いいのにふたつあたりました。