復刻版で前編が2種類ついている。後から描き直した方が確かにつじつまが合っているようだが、しかし最初の版も捨てがたい。奥付のデータはどちらも同じなので、いつのまにか旧版と新版を差し替えたのだろう。新版の見返しにはローマ字で今後も改訂を行なう予定があるという断り書きがある。この時代、ぴかぴかの新刊の状態でこの本に出会った人たちの感激は、今でも老人の胸を揺さぶる力を持っていることからも想像出来る。しかも複雑なストーリーを壮大なスケールで展開してみせる中身のレベルの高さがまったくこの外見を裏切っていないのがすばらしい。もし私がもう少し年長で、このような漫画本が買える程度の家庭環境にあったとしたら、多分亜流でも何でもいいからあこがれのあまり漫画家になろうとしたに違いない。いや、こんな復刻本を買うのは多分私と似たような世代の人たちだと思うが、そういう彼らの、ああ、自分も漫画家になりたかったのになあ、という大合唱が聞こえてくるようだ。