今日は新刊で清水幾太郎『オーギュスト・コント』と古本で江藤淳・松浦玲篇『海舟語録』を買った。清水幾太郎の本はすでに読んだことがある文章が多い。実は彼の本は他にも『現代思想』(岩波全書)を若い時に読んでいて、その当時いい本だと思った憶えがある。『海舟語録』は、最近松浦玲氏の『明治維新新論』を読んだため。『明治維新新論』は明治維新が持っていた大きな可能性と、実際のその後の歴史との乖離を現在の問題として捉えるという内容だが、その研究の過程で勝海舟の談話記録の改ざんを発見し、それをなんとか原型へ戻そうという作業が行われた。『海舟談話』もその成果のひとつで、有名な『氷川清話』の方は新聞や雑誌に掲載された記事をご時世に合わせて都合よくリライトを行なった著者の改ざんが目に余るということで、徹底的な考証が行なわれたそうだ(こちらはまだ未見)。このような作業を支える指針として横井小楠や大村益次郎のようなまったく違う明治の可能性を構想していた人たちの存在がある。
最近は渡辺卓『孟子』と岡田武彦『山崎闇斎と李退渓』を並行して読んでいる。『孟子』は大変分かりやすく、しかも説得力ある文章でいわゆる「王道」とは何かを明らかにしてくれる。同じ著者の本がもう1冊あったので注文した(『古代中国思想の研究<孔子伝の形成>と儒墨集団の思想と行動』)。明日か明後日届くだろう。
昨日は權五鳳『李退渓家書の総合的研究』という大冊が届いた。
明徳出版社の叢書・日本の思想家シリーズ『佐藤直方・三宅尚斎』、『月田蒙斉・楠本端山』を数日前に購入。
とにかく早く読みたい本ばかりで、今頃(つまりこんな年齢になって)いきなり知らない分野に足を踏み入れたことは楽しみでもあり、同時に手遅れの感もあって、いったいどうなることやら。