昨日から『プロセス』展が始まりました。久しぶりに大きめの作品が並びました。そして久しぶりに箱型のギャラリー空間を作りました。6人の絵画作家とひとりの写真家の展示です。本筋とは関係のない話ですが、複数のアーティストがこうやって同じ機会、同じ場所に展示をしていることがとても不思議な出来事のように感じられることがあります。今回の企画は特に多くの偶然や思いつきの積み重ねの上に組み立てられています。参加アーティストは少しずつ決まっていきました。最後のひとりはこの企画を考えている最中、たまたまギャラリーにファイルを持って来た人でした。パーティーの後の2次会で参加アーティストのみんなとお酒を飲みながら、これからまたみんなはそれぞれ別の世界へ向かうのだということを強く感じました。これはいつものオープニングとはまるで違う感慨です。
今回の展示のコンセプトはとてもシンプルです。絵画作家の製作中の姿と作品の変化を写真で記録し、それを出来上がった作品と一緒に展示することによって制作の過程と雰囲気を合わせて伝えようしたものです。
私は専門外ということもあって純粋に作品としての写真の展示をあまり手がけたことがありません。今回も写真は作品として独立してはいますが、同時に明らかな役割を持って展示されています。で、先ほどの感慨はどうやらこの写真から来ているような気がするのです。製作中の姿を捉えた吉住美昭君のモノクロ写真はとても見事でした。撮影はこの1〜2ヶ月の間に行われました。でもすでにそれが遠い過去のなつかしい出来事のような光を放っているのです。私は被写体となったアーティストを見ながら、そうか、こんな時もあったのだ、という感慨にふけり、そして今飲み会の席で目の前に居る彼らが、まるで遠い過去から訪ねて来てくれたかのように感じたのです。あるいは彼らはすでに写真に撮られた時とは別の人物であり、むしろ未来のほうから足を踏み入れてきたのかもしれません。いずれにしろ、一瞬の交錯した状態を作り出してはまた散らばっていく展覧会の姿をこれほど胸に迫る思いで感じたことはありませんでした。